視野狭窄や味覚障害への配慮も大切
認知症の高齢者の食事介助を行う際は、食事を楽しく美味しく、時間を掛けすぎずに食べて貰うことが大切です。しかし、食事をスプーンで運んでも口を開けてくれなかったり、口に入れても噛んだり飲み込んだりしてくれない事も多々あります。
認知症では、初期の段階から味覚の低下や視野狭窄といった様々な症状が多く見られます。それらに配慮する事によって、スムーズに食事介助ができるようになります。
認知症で起こる視野狭窄は、精神的なことが要因となって起こる事が多いです。認知症の高齢者にとって正面の狭い範囲しか見えないので、食事介助の際にスプーンを横や斜めから口元へ差し出してしまうと、視野に入らず口を開けてくれません。
この場合、高齢者の正面にスプーンを持って行き、それを見せながら近付ける事で、口を開けてくれるようになります。高齢者の場合は老眼も考慮しながら、少し離れた所から徐々に近付けると良いでしょう。
また、味を感じ難くなる味覚障害も、認知症の初期から多く見られます。食事介助の際は、今何を食べているのか話し掛けて、味を連想させてあげると良いでしょう。特にソフト食やペースト食といった、見た目から味が連想できない物は、「これは~ですよ」「味噌の風味が良いですね」というように、言葉で味をイメージさせてあげることをおすすめします。
認知症の高齢者一人一人の症状や気持ちに配慮しながら食事介助をする事で、食事拒否が抑えられて介助がスムーズになります。そして、高齢者にとっても介護する側にとっても食事の時間を楽しく素敵な時間にできるよう努めることが大切です。